古九谷に開眼した話
2021年6月08日
最近、古九谷に興味があります。
と言ったものの、実は、古九谷の良さが全く分からなかったんです。
京橋の古美術店の去来さんでお話をしている時に、日本の陶磁器の話になりました。
どちらかというと、素朴でシンプルな染付が好きな私は、
「古九谷って一級品は、まあ、色も綺麗だけど、派手だし、良さがよく分からないんですよね・・・」と話すと、
「欠けたものでもいいから、一度手に入れてごらん。そして果物を一つ、ちょこんと乗せてごらん。絵になるから。」
と教えてくれました。この「絵になるから」という言葉が私の気を引きました。
去来さんは、知的でセンスのある素敵な方で、とても憧れているので
そんな意味深なことを言われてしまい、気になって仕方がありません。
日本陶磁器を専門に扱っているクライアントの前坂晴天堂さんに「割れていてもいいので、私でも買えそうなものがあったら、勉強のために欲しいんですけど・・・予算はこれくらいで・・・」と無理なお願いをしに行きました。
前坂晴天堂さんは、鑑賞陶磁器を扱う老舗で、「割れててもいいので」なんて失礼千万な話のですが、完品は手が出ないと知っていた私は、長年のお付き合いをいいことに、思い切ってお願いしてみました。
ですが、さすがは名店。嫌な顔ひとつせずに、むしろ喜んで古九谷のことを色々と教えてくださって、たくさん見せていただきました。
去来さんとのやりとりを説明すると、奥様が「古九谷 珠玉の小品」(MOA美術館特別展)の図録を見せてくれました。
これを見て、「なるほど、古九谷は絵画なんですね!」と思わず納得した私。
以来、完全に古九谷を見る目が変わってしまい、古九谷を見かけると興味津々。
180度の方向転換です。笑
きちんと価値が伝わると、人は180度方向転換ができてしまう、
逆に、伝わっていないと、本来の価値がそもそも目に入って来ない、そんなことを実感したのでした。
(そもそも見る目がなかったから、という話もありますが・・・)
さて、私は古九谷を手に入れたのでしょうか?
またそれは次回。
*画像は前坂晴天堂さんで撮影したものを加工しています。