美術品初心者にとってのハードル

2021年8月18日

ある経営者とお話していた時のこと。

  
「私も絵には興味があって、
 部屋に飾りたいと思うんですよ。

 
 でも何を飾ったらいいのか
 わからないんですよね・・・」

 
美術に携わる人なら、
「まずは色々見て回って、
 気に入ったものを選んで欲しい」
と思うかもしれません。

 
ですが、
なんとなく「絵があったらいいな」と、
まだ“買える場所”を
探すところまで踏み込めない人にとって

 
「色々見て回る」
「気に入ったものを選ぶ」
というのは、ハードルが高かいものです。

 
一般的に、絵画とか美術品というと、
「手が出ない高価なもの」
という固定観念があったり、

 
美術館に飾ってあるような絵は
個人では買うことなんてできない
と思っている方が多いです。

 
でも、高級車やブランド品などの
ラグジュアリー商品と呼ばれるものは、
そういう人でも買えるんですよね。

 
そちらの方が高い場合だって多いですよね?

 
これは、おおよその値段が
わかっているからではないでしょうか?

 
言い換えれば、
値段と価値がその人の中でマッチしている
ということです。

 
美術品を買うハードルの高さは、
そもそも、いくらするものなのかが
わからないということ。

 
だから、欲しいと思っても、
まだ買ったことがない人にとっては、
モヤモヤっとするのではないでしょうか?

 
この経営者の方は、
美術品になんとなく興味がある
と、まだ入り口に立ったばかり。

 
なんとなく、
魅力的な世界が広がってそうだな・・・
と思っているのです。

 
でも、それがどんなものなのか、
まだ経験したことがないから
わからないのです。

 
そんな人の背中を押してあげられるのは
売る側の人間です。

 

初めての一品を手に入れると、
次のハードルがぐんと下がるという心理は、
美術商ならお分かりだと思います。

 
このモヤモヤを取り除くことができれば、
美術品が購入しやすくなるのではないでしょうか。

  

*写真は14年前のミラノ